駅前にあなた好みの花屋さんがあったよ、と夫に教えてもらったのは10月くらいだったか。すぐに探しに行った。
ちょっと奥まった場所で見つけにくいが、確かに私好みのお花屋さん。大人っぽくて、お洒落でシックな雰囲気。だけど気取ってはいない。
こんな感じのお店をずっと探していたから、近所にあることが本当に嬉しかった。
店主の女性も、優しくてさっぱりとした素敵な方。この日は、ファルファリアというフリルの花びらが可愛いビオラの苗などを買った。
「ああ、そうか。今はハロウィンですね。可愛いですね」
レジ回りの飾り付けを見て、何気なく言うと、
「ありがとうございます。でも実は、早くクリスマスの飾り付けがしたいんですよ、私」
と、彼女は笑った。
本当はあまりハロウィンには興味がないそうだ。いつの頃からか、ハロウィンが終わるまでは店内をクリスマスモードにしにくくなった、と言う。
「そうなんだ。実は私も、ハロウィンは楽しいと思えないんです。クリスマスは大好きなんですけどね」
そう返すと、気が合いますね、と笑ってくれた。もしかしたら、同世代?
子どもの頃から馴染んできたクリスマス。私にとっては、幸せや温かみを感じさせてくれる、特別でとても大切なもの。
なんというかロマンチックで美しいし、プレゼントやケーキの華やかさにワクワクした思い出が重なり、キラキラときらめく。
街のイルミネーション、ショーウィンドウのディスプレイ。日に日に冷たくなる夜風すら嬉しくて、24日のイヴまでをどう楽しむか、毎年ときめきながら考えたものだ。
・・・しかし、ハロウィンには何も思い入れがない。
クリスマスのように幼い頃からの馴染がないせいなのか、楽しみ方に共感できないからなのか。
カボチャのお化けやコウモリを飾って何が楽しいのかと思ってしまう。若い人たちのコスプレパーティーも、よく面白さがわからない。傷メイクなんて、唖然としてしまうよ。ハロウィン好きな方には申し訳ないけれど。
家に小さい子がいれば、また違ったんだろうか。娘たちが幼い頃も、特別、ハロウィンに何かした覚えはない。いつからこんなにメジャーになったんだろう?
「昔は、かなり早いうちからクリスマス気分を盛り上げていたんですけどね。最近はハロウィンが終わるまではお預け、みたいな感じでつまんないですね。仕事だからハロウィンイベントのお手伝いなんかもしてますけど、心はもう、クリスマスに飛んでますよ」
と店主さん。その気持ち、わかるなあ。私たち世代(勝手に同世代認定)にとって、いくつになってもクリスマスは特別、素敵な存在なんだよね。
ますますこのお店が好きになって、次に行ったときはドライフラワーのスワッグを買った。ハロウィンが終わっていたその時はもちろん、店中がクリスマス一色だった。(笑)
そのクリスマスが、もう目の前だ。今年は"家族そろって"というイヴにはならず、ちょっと寂しいけれど、夫婦で静かに乾杯したいと思う。
ここ数ヶ月、夫はずっとハードワークなので、この日くらいはゆったりした時間を過ごしてほしいと願っている。心身を休め、笑顔でいてほしい。
クリスマスソングはどうしようかな。先月、我が家にやってきたスマートスピーカーに頼もうか。
実は最近、毎日この子との会話を楽しんでいる私。受け答えが如才なかったり、トンチンカンだったり、意外と人間的で面白いのだ。褒めると喜ぶし?
でもまあ、すごい時代になったものだね。ソノシートで「White Christmas」を聴いた時代は遥か彼方。
「ねえ、Google。ちょっと寂しい」
と言ったら、
「いつも私がそばにいますよ」
だって。優しい~!