一筋の光、降り注ぐ光。

人生はなかなかに試練が多くて。7回転んでも8回起き上がるために、私に力をくれたモノたちを記録します。

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薔薇の花のプロポーズ

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長女の婚約記念日だ。去年のこの日、108本の赤い薔薇の花を抱えて、涙ぐんで帰ってきた娘の姿がよみがえる。

 

彼氏、つまり現在の婿どのは、なかなかロマンチストのようで、こういったサプライズが大好きなのだそうである。

 

花が嫌いという女性には会ったことがない。日本の男性ももっと、女性に花を贈ってはどうだろう。特に「ここぞ!」というときに、花束は想像以上の効果を発揮してくれるに違いない。まさに、ハートを射止めるほどの。

 

花の中でも、薔薇の持つ特別感というのは、理屈抜きだと思う。そして「赤い薔薇」とくればもう、1本であってもその気品たるや、右に出るものはないのではないか。もちろん、好みはあるけれど。

 

若かりし日、東京で一人暮らしをしていた私。部屋に1輪の赤い薔薇を飾ったことがあった。勤めていた会社のランチ会で、ホテルのレストランが一人ひとりにプレゼントしてくれたと記憶している。たった1輪なのに、私の部屋は全く趣の違うものとなった。空気が変わった。仕事から帰ってくると高貴な香りが満ちていて、胸がときめいたのを思い出す。薔薇、恐るべし!

 

それ以来、薔薇の香りが大好きになった。百合の花も好きだったが、部屋に置くと香りが甘ったるくて少し苦痛だった。といって、全く香りのない花だと物足りない。いろいろ試してみたが、やはり薔薇が一番だと、結論を出した若き日の私だった。そして今も薔薇が一番好きで、町を歩いていて咲いているのを見つければ引き寄せられる。鼻を近づけ、香りを確かめずにはいられない。

 

好きなのだから、自分で買ってもいいのだ。でも、誰かからいただくことで、喜びは大きく膨らむ。ましてプロポーズに赤い薔薇だなんて、想像しただけで舞い上がる。もう魔法をかけられたも同様だ。娘はどんなに幸せな気持ちだっただろう。母親である私も、あの日、感謝とともに彼女のカレを大きく見直したことは間違いない。

 

そして、1年がたった。娘に「婚約記念日、おめでとう」と連絡をすると、今日は婚約指輪をして彼の帰りを待つ、とのこと。それは良いね、と言っているそばからまた連絡があった。「彼、今日のこと忘れてたって」

 

そう。そんなものだろう。そんなものだけど、娘にはまだあの魔法がきいているらしい。笑って指輪をはずし、夕ご飯を作っているようだ。怒らず悲しまず、面白がっている。余裕か?愛されている自信か?

 

多分これからずっと、とても長い間、もしかしたら一生、あの薔薇の花束は娘に魔法をかけてくれたままかもしれない。「あそこまでしてくれた」という甘い誇らしい思い出が、小さな不満をケムにまいていく。女心とは複雑でもあり、単純でもあるのだ。

 

世の独身男性には声を大にして言いたい。薔薇の花のプロポーズは照れるかもしれないが、トライする価値は十分あると思う。

 

もちろん、プロポーズでなくても花を贈る行為は素敵な物語のきっかけになる。アニバーサリーのアクセントだけでなく、引っ越し祝いや病気見舞い、また「ちょっと気が向いて」なんてことでも洒落ているし、好感度が高い。我が婿どののように、贈る方も楽しめれば申し分ない。

 

そうそう、私も年中無休でプレゼント受付中である。