各地で桜が開花している。いよいよ、春本番かな。スズラン、ムスカリ、タンポポ、スイセン…。いつも通る緑道にも様々な花が咲きだして、歩いていても心が弾んでくる。
3月が終わる。毎朝見ていた連続テレビ小説の「べっぴんさん」も明日が最終回だ。
私は卒業して就職したのが神戸のアパレルの会社だったので、神戸が舞台で子供服の会社の創立者を主人公にしたこのドラマ、温かな物語を楽しむと同時にいろいろな部分で興味深かった。(もちろん過ごした年代は違います!)
そしてオープニング曲、Mr.Childrenの「ヒカリノアトリエ」がとても好きになり、毎朝楽しみにしていた。特に
大量の防腐剤 心の中にしのばせる
晴れた時ばっかじゃない
湿った日が続いても腐らぬように
この部分が気に入っている。え、そこ?って感じかもしれないが、ロングバージョンのときに聞ける、ここ、が私は好き。
湿った日って、続くことが多い。明日はきっと晴れると期待すればするほど、朝が訪れてもまだ湿っているという、そのことに気が滅入るものだ。
人生を通してずっとポジティブに生きる人なんて、本当にいるだろうか。どんなに前向きに考えようとしても、それができないときというのが必ずあると思う。
前向きになれない。立ち止まって俯くしかできない。私には何度もそんな時期があった。まあ、長く生きていればそれなりにいろいろなことが起きるというのもあるけれど。
何度も傷を負えば、その経験値から鍛えられてタフになれそうなものだが、そういうものでもないらしい。毎回激しく落ち込み、人生を続けていくことに怯える。
ただ、タフにはなれないが、学習はしているようだ。ある程度、ピンチが訪れる予兆を感じられるようになり、回避する方法を前もって考えようとする知恵はついた。上手くいかないときも多いけどね。
上手く回避できずにやらかしてしまったときも、「これまで何度もピンチになったけど、こうしてなんとか生きてきたじゃないか」とは思えるようになった気もする。前向きになんて考えられないよ!というときでも、少なくとも腐らないではいられるのだ。
防腐剤を、心の中にしのばせられるようになったのかな。
傷つくということは自尊心が高いということで、どんなに自己嫌悪に陥っても、自己肯定感が急降下しても、どこかで自分を信じているのだと思う。腐らせたくないのだと思う。
とにかく腐らないことだけ気を付けて、陽がさしてくるのを信じ、長く続く湿り気の多い日をやり過ごす。すぐに前向きになれないときは、それでいいんじゃないかな。
明日から4月。環境が変わる人も多いよね。桜だけじゃない、これからますますたくさんの花が咲きだして、見る人に元気や癒しを与えてくれるはず。防腐剤じゃなくて「可愛らしい花」を心にしのばせるのも、いいかもしれない。
カレンダーの新しいページが、カラフルで優しい花の色に染まりますように。