近所の小川にカワセミがいるようだ、と知ったのはいつだろう。買い物やウオーキングで、出現ポイント近くを通るたび、気にするようになった。運が良ければ、その瑠璃色の美しい姿に出会える。
昨日はそのラッキーデイだったようだ。川面すれすれを流れ星のように鋭くきらめいて飛び抜けていく、素敵なカワセミを見ることができた。
真冬のように寒い日が続いたかと思えば、歩くと汗ばむほどの陽気になったり。晩秋から初冬へ、季節はためらうように少しずつ進んでいる。
暖かい日差しに誘われて、久しぶりに元気に歩けば、綺麗なカワセミに会えたりする。ささやかな出来事だけど、人生捨てたもんじゃないね、なんて思ってしまうから単純だね。
さあ、どんどん外に出よう。たくさん歩こう!
この季節は、広葉樹が色づき、暖色のおかげで森や並木道が明るくなっているのが嬉しい。赤や黄色の葉の重なりを見上げれば、その隙間からチラチラと青空のかけらが顔を出している。しみじみ美しいと思い、心にまで日が差してくるようだ。
散歩でも通勤でも、歩いていて楽しいお気に入りの道、というのが昔からあった。好きな木や草花が植えられていたり、洒落たベンチが置かれていたり、可愛いらしい家が並んでいたり、ネコが多かったり。
旅先などで知らない町を歩くときも、「この道はきっと楽しそう」と思う予感を優先して道を選んでしまう。方向感覚が良い方ではないので、何度も迷子になりかけるが、それすらもなんだか愉快だ。
よくわからないけど面白そう、この先に何があるんだろう?
そんな道の佇まいが好きだ。そして、それは旅に出なくても身近に見つけられることがある。新しい散歩道を発見できるかもしれないという期待。それが私の中には常にあるので、ついつい遠回りしたり、横道に入ってみたりしてしまう。
思い出のプロムナードはたくさんある。出来事や感情の記憶が結びついて、思い出すと感傷的になったりもする。懐かしく、飛んで戻りたい気持ちになったりもする。それもまた、楽しいのだけど。
私の好きな散歩道、ベスト3を挙げるならどこ?
自分に問いかけてみた。いくつかの候補が挙がってくる。
ベビーカーを押しながら歩いた「水の小径」という名の緑道。子どもたちの成長とともに思い出が増えていった、忘れられない散歩道だ。
それから東京に住んでいた頃の、近所の桜並木。好きだったなあ。丘をのぼっていくと、カトリックの厳かな教会があったっけ。
思い出は遠い昔までさかのぼり、私は少女の姿でレンガを敷いた道を歩いている。幼い頃住んでいた町の公園だ。季節は秋。一緒に歩いているのはまだ若い両親。
そういえば、彼らも散歩好きな人たちだった。パパとママとトコトコ歩く・・・あの頃の嬉しい気持ちを覚えているから、今も私は、こんなに歩くことが好きなのかもしれない。