一筋の光、降り注ぐ光。

人生はなかなかに試練が多くて。7回転んでも8回起き上がるために、私に力をくれたモノたちを記録します。

<当ブログではアフィリエイト広告を利用しています>


遠き恋人の君を想う―西城秀樹さんとクリスマス

f:id:tsukikana:20191223010859j:plain

 

冬の花火大会(花火劇場と言うらしい)を見てきた。アンデルセンの「マッチ売りの少女」のストーリーに、音楽と花火を連動させたイベントだった。

 

最初のうちは、ナレーションの語り口に乗れなかったり、パラパラと上がる花火を少し物足りなく感じたりしながら見上げていたが、物語の節目でドドドドッと大輪の花々が打ち上げられることが繰り返され、だんだん陶酔していった。

 

華麗でカラフル。迫力もあるけどロマンティックで、さながら天空のイルミネーションといった風情。クライマックスのゴージャスな演出には思わず「おお!」と声が出てしまった。

 

周囲を見渡すと、当然ながらカップルが多い。今年のクリスマスイブは平日なので、一番近いこの週末にクリスマスデートする人たちが多いんだろうね。

 

来場者数見込み約8万人と聞いたが、どうだったんだろう。確かにすごい人数だった。

 

真冬の大空を彩る美しい花火のショー。見上げていた大勢の人たちは、皆それぞれ、どんな風にこの夜のことを記憶に刻んでいくのだろう。幸せそうな笑顔が、あちらにもこちらにも見えたけれど・・・

 


 君に贈りたかった
 銀の指輪のように、
 約束も果たせずに
 その若さが目映いほど
 今でも君は笑っている

 

西城秀樹さんの『遠き恋人の君』のメロディーが、心に流れてきた。2008年にプライベートで制作された未発表曲で、幻の名曲と言われていたものだ。今年5月に発売された『HIDEKI UNFORGETTABLE-HIDEKI SAIJO ALL TIME SINGLES SINCE1972』(CD+DVD BOX)に収録されたことが話題になり、この春、私も初めて聴いた。

 

そしてクリスマスシーズンが近づいてくる中、この曲を度々耳にするようになり、柔らかく切ない歌詞とメロディーラインが、頭の中で繰り返し再生されるようになった。好きなクリスマスソングは山ほどあるのだけど、何故かこの曲ばかり。

 

クリスマスの恋人たち・・・自分や友人たちの体験だけでなく、小説や映画、ドラマなどでも数えきれないほど見てきたが、幸せ一色、というものはほとんどない。迷いや悩みもエッセンスにして、冬の恋は輝くのかもしれない。

 

遠い日に別れてしまった恋人を、クリスマスの華やぎや、あるいは聖なる雰囲気の中で、ふと思い出す人も多いんじゃないかな。出会いから別れまでの出来事を、星座のように辿ることもあるかもしれない。若かったなあと、懐かしさに少しの悔いを混ぜ込みながら。

 

この曲は、HIDEKIの遠い昔の恋を歌ったものだと聞いた。作詞はかねてから交流のあった歌手の沢田知可子さんで、HIDEKIがクリスマスソングを作りたいと依頼したそうだ。そのお話の中で、若い日の恋のことを、大切な思い出として打ち明けたのだろうか。

 

 あれはまだ世の中に
 携帯電話がなかった頃のクリスマス
 人目に触れぬ隠れ家をみつけて
 僕ら 待ち合わせた

 

そんな出だしを聴くと、あの美しき若ヒデキを知っているファンとしては複雑な思いになるが(マアイワユルシットデスカネ)、

 

 離れ離れに生きて・・
 心の奥 生き続けて
 遠き恋人の君
 美しく蘇らせて
 Merry X'mas

 

と優しく穏やかな声で歌われると、綺麗で上質な物語を聞かせてもらえたように、うっとり夢見心地になる。

 

そして、人気絶頂のアイドルだった頃、どんな思いで恋人と別れたのだろうか、大病をして壮絶なリハビリをして復帰した彼が、どんな思いで遠い日の恋人を語り、歌ったのだろうかと、何度聴いても泣きそうな気分になる。

 

ドラマティックなこの歌を、病に倒れる前の、あの猛烈に歌が上手かった頃のHIDEKIの声で聴けたらどうだったろう。そう思ったこともあった。

 

でも、思い直した。言葉に尽くせぬほどの大変な経験をした、50代の、本物の大人のHIDEKIが歌うからこそ、きっとこんなに優しく、ストレートに心に響いてくるんだよね。

 

そして彼は、本当に私たちの「遠き恋人の君」になってしまった。辛いけど、このタイトルがもうすでにドラマティック、なのだった。ああ!

 


最近、昔の夢をよく見る。年賀状に、古くからの友人たちへ一言コメントを書いていたので、さまざまな思い出がよみがえったせいだと思う。

 

10代、20代、30代、40代・・・
ドラマティックではないが、私にもそれなりの出会いと別れの歴史があるらしい。小さいけれど美しい花火も、何度か上がった気がする。

 

残念ながら、古い恋はまだ夢に出てこないが、私の場合はその方がいいかな。お馬鹿さんだったからね、痛い痛い。笑

 

恋人たちにはクリスマスがよく似合う。失恋中でも絵になるし、ひとりもまた楽しいよね。もちろん、家族や友だちと過ごすクリスマスも素敵。

 

これまでのご縁に感謝して、出会ってきた人たちの幸せを改めて祈る季節。心から平和を願う季節。

 

遠き恋人のHIDEKIに、そして全ての人たちに・・・Merry X'mas

 

 

※ちなみに『遠き恋人の君』の作曲は、ミュージシャンの宅見将典さん(西城さんの甥だそうです)で、西城さんのコーラスを20年以上勤めてきたMILKのRieさんとのデュエットとして完成されています。