ホ・オポノポノについては、以前一度書いたことがあるが、実はあれからずっとその「クリーニング」を続けている。私のクリーニングツールは、例の四つの言葉、
ありがとう。
ごめんなさい。
許してください。
愛しています。
を心で唱えるというもの。
それから、白く柔らかなパウダーブラシを思い描き、何か問題が起こるなどして立ち上がってきた感情や、不安な気持ち、連鎖するように思い出す過去の出来事などに向けて都度都度、清らかな微粒子パウダーを優しくポンポンと振りかける(想像で)というもの。
もうひとつ好きなのは、
アイスブルー。
とつぶやくこと。氷河の青色を想像しながら。その後で、手近にある植物にそっと触れる。心に痛みを覚えるような体験をしたときは、このクリーニングの方法が私にはよく効く気がする。
スピリチュアルなことにちょっと距離を置きたい私が、そーっと足を踏み入れた世界だったのだが、その日から結局、毎日クリーニングをしてきたのだ。そんなに面倒なことではないし、綺麗な言葉をつぶやいたり心で唱えたりするだけだから、朝起きてうがいをするがごとく、普通に習慣にしてしまって気持ちが良かった。
ところが、ところが、なのである。
去年の夏頃からか。まあ、いろいろな出来事があったという背景もあり、私は少し熱心にクリーニングをするようになった。ホ・オポオポノについて、ちゃんと本も読んで理解を深めようともした。そして、ウニヒピリを大切にすることこそが、一番大切なことなのだと知るに至った。
ウニヒピリ。
潜在意識のことを、ホ・オポノポノではそう呼ぶ。私たちは、自分というものは単独の存在だと思っているが、実は三つの意識の集合体であると、ポノでは考えている。普段、これが自分だと考えているのは表面意識である「ウハネ」。それと、超意識である「アウマクア」があり、潜在意識の「ウニヒピリ」がある。この三位一体こそが私という人間なのだ。
ウニヒピリはもちろん、誰の中にもいて、この宇宙全体の記憶のすべてがそこに保管されているということだ。そして、私たちが抱くあらゆる感情というものは、このウニヒピリの持つ記憶の再生によるものである、というのがポノの考え方なのである。
ポジティブであれネガティブであれ、ウニヒピリが見せてくれるのは大事な感情。その感情をクリーニングしてゼロになりましょうと、ウニヒピリは一つ一つそれらを見せて、クリーニングを促しているというのである。あらゆる執着や期待から解き放たれた状態こそが、自分にとっての幸せなのだと、ウニヒピリはちゃんと知っているから。クリーニングしてゼロになれば、何物にも邪魔されず、最適なタイミングでインスピレーションを受け取ることができるのだ。
ウニヒピリは私自身であり、私の幸せを願ってくれている。だから、その存在を尊重し、いつも愛を届けていれば、私が幸せになるために一緒にクリーニングをしてくれる。私にはわかりようのないその問題の原因となる記憶を見つけ出して、超意識のアウマクアに伝えて解決に導いてくれる。
だから、繰り返し繰り返しクリーニングをし、ウニヒピリに話しかけることが大切なのだと、本には書いてあった。
ウニヒピリは「内なる子ども」とも呼ばれていて、こんなにすごーい役目を担っているにも関わらず、なんとなく小さな可愛らしいシャイな天使のイメージなのだ。潜在意識なんて、言葉では知っていたけれど自分の中に感じたことなどなかったから、その存在に気持ちを向けたことはこれまでなかった。それを子どものようなウニヒピリは、どうやら寂しく思っていたらしい。
そこで、まずはその存在に気付いたことをウニヒピリに伝え、私の一部でいてくれたことに「ありがとう」。ずっと気づかなくて「ごめんなさい」。記憶があなたに蓄積され続けたことを「許してください」。どうかもう、あなたを苦しめるその記憶を手放してください。「愛しています」。基本はそういう気持ちで関わっていくのだろう。
それから私はただクリーニングするだけでなく、自分の中のウニヒピリに注意を向けて、話しかけるようにしてみた。「おはよう」に始まり、嬉しいことがあれば「やったね。なんか嬉しくなっちゃうね、ウニちゃん。・・・ありがと」、嫌なことがあれば「あーあ、空しいよね、ウニ。・・・愛してるよ」と、そんな感じ。
そうしていたら、変化があったのだ。少しだけど、小さなラッキーが続くようになった。
タイミングの良いことが多くなったし、人間関係での悩みが軽減された。また、やりたくてもなかなか動き出せなかったことに、曲がりなりにも手を付け始めている自分に気づいた。「そうか、これはそういうことだったのか!」と腑に落ちることが度々あったのも興味深い。
一番嬉しかったのは、古い友人から何年振りかで連絡があり、仕事を依頼してもらえたこと。それは、素敵な人たちとの出会いももたらしてくれたし、ライターという仕事が自分にとってどれだけ大事なものだったかということに、気づかせてくれた。本当にありがたかった。
ここ数年の私は「ああ、なんか転びそうだ」と思って本当に転び怪我をして「やっぱりね。そんな気がした」ということの繰り返しだった。「これじゃ、心病むわ」と思って本当に病んでしまったし、「この仕事は失敗しそう」と暗示をかけるがごとく暗いエネルギーを発し、本当にミスをした。更年期障害なのか、それとも何かに呪われているのか? 生きていることそのものが何かの罰のようにさえ感じたこともあった。
自分に自信が持てなくなり、この先の人生に希望など持てなくなり、人の励ましも素直に響かず、そんな自分が情けなくて、自分が大事に思えなくて、どうしていいかわからなくて・・・もう、できればどこかで冬眠していたかった。
そんな私がホ・オポノポノに出会って、ウニヒピリという自分の潜在意識を意識するようになって、自分を再び大切に扱うようになったのだ。自分の中に起こる感情に注意を向けて、嘆いたり抑え込んだりするのではなく、自分の中のもう一人の私に声をかける習慣がついた。
「うわあ、腹立つね、ウニちゃん。一緒にクリーニングしてくれる?」と。
そうして、私自身が息をしやすくなり、生きやすくなってきている。自分の中に、こんな味方がいたのか、私は孤独になることはないのね、と実感としてわかってきた。
ウニヒピリに話しかけることは全く面倒ではなく、むしろ楽しい。夜、寝る前に彼女と持つコミュニケーションのひとときは、今では私には欠かせないお楽しみタイムだ。落ち着き、心が休まり、気持ち良く眠りに入ることができる。
2017年が始まった。相変わらずスピリチュアルなことには一歩引いているし、特定の信仰も持たない私だけど、今年はこのままウニヒピリと心が通じ合えるように努めていきたいと思っている。
それが、今の私にとって最も適した問題解決法だと感じているから。