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一筋の光、降り注ぐ光。

人生はなかなかに試練が多くて。7回転んでも8回起き上がるために、私に力をくれたモノたちを記録します。

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります

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昨日、久しぶりに映画館で映画を観た。家でブルーレイの映画を観るのもいいが、やはり映画館という場所で観るのは楽しい。大きなスクリーン、計算された音響効果。わざわざ来たという高揚感もあるし、どこか真摯な態度で映画に臨んでいる自分がいる。

 

新聞社でフリーペーパーを編集していた頃は、月に6本のレビューを書く必要もあって、日課のように試写会に行っていた。仕事とはいえ、今にして思えばなんと贅沢な日々だったことか。洋画、邦画、硬軟問わず、読者層に喜ばれそうだと思えば夜の試写会でも勇んで出かけて行った。

 

あの頃のように、本当は今も浴びるように映画を観たい。しかし、浴びるように映画を観るには映画館の入場料は高すぎる。

 

そう、500円。せめて1000円だったら、月に数度は映画館に足を運ぶかもしれない。観たい映画はたくさんあるのだ。1800円は高すぎる。イベントになってしまうし、イベントなら誰かと行きたくなり、そうすると料金は倍になる。もっと気楽に、日常的に映画が楽しめるようになることを願ってやまない。

 

話は戻って、昨日。私の行きたかった映画館では木曜日のレディースデーということで、女性は1100円で観ることができた。祝日ということもあり、希望した時間は満席だったけれども(もちろん女性がほとんど!)次の回で観ることができた。「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」という米国映画だ。

 

夫婦歴40年という男女を、モーガン・フリーマンダイアン・キートンがチャーミングに演じている。テンポのいい会話が粋でお洒落な、いかにもニューヨークっぽい作品だが、結婚した当初の40年前はまだ人種差別が根強く残っていたことに触れ、この夫婦の成り立ちの難しさや試練の厳しさ、また子供に恵まれなかったことによる葛藤の日々など、単純とは言えないふたりの40年の軌跡が想像できるように描かれている。

 

現在は夫婦と愛犬と仲良く暮らす、ある種理想的な暮らし。ただ、年長の夫と老犬のために、妻は5階のエレベーターなしの自宅を手放し、他の部屋を探そうと動き出す。眺めのいい、夫婦のお気に入りの居心地抜群の部屋を、エレベーターがないというだけで本当に手放してしまえるのか?

 

持ち家と賃貸ではまるで違うけれど、我が家も年末に引越しをしたばかりなので、彼らの迷いやテンションの上下はすごくリアルに伝わってきた。高く売って安く買う、は市場の常識だけれども、振り回されるのは本当に疲れるだろう。ゆっくり考えながら気持ちを固めていきたいのに、即決即断を迫られる。傍目には滑稽だが、いやあ、当人は「なんでこんな目にあわされるのか」とだんだん腹も立ってくるだろう。

 

けれど、40年続いた夫婦がお互いへの愛情や、家族でいられた幸せへの認識を新たにするのに、この出来事はとても良いきっかけとなったよう。とにかく、主演のふたりが魅力的すぎる。夫婦で年を重ねていくということの理想を描いたような映画だと感じた。

 

垣間見られたNYの住宅事情も興味深かった。そして、ブルックリンの街を見下ろすアパートメント最上階の描写にはためいきが出た。豪華でなくても、古くても、なんて素敵なんだろう。40年間、動きたくなかったの、わかる!

 

この部屋に夫婦が愛着を持つ大きな理由、「眺めの良さ」は、手に入れるのが難しいものだけに憧れも強い。景色が遠くまで見通せるというのは、心の風通しにもつながるんじゃないか、などと考えながら映画館を後にした。

(写真はもちろんNYではなく、名古屋市某所の昨日の景色です)