一筋の光、降り注ぐ光。

人生はなかなかに試練が多くて。7回転んでも8回起き上がるために、私に力をくれたモノたちを記録します。

心に澄んだ風を通し、新しい年を迎えよう

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冷たい師走の風の中を、ゆっくり歩いて買い物に行く。まだ早い時間から店は混んでいて、気がつけば皆さん、動きがキビキビしている。

 

年の瀬の活気。どの顔にも「忙しい」と書いてあるようで、こちらも忙しくしていないと申し訳ないような、追い立てられるような気持ちになるからおかしなものだ。

 

それでも帰り道、いつも歩く川沿いの緑道で、ちょっとほっこりする出来事があった。

 

普段は見かけない野鳥を木立ちに見つけ、立ち止まって確かめようとしていたら、一人のご婦人に話しかけられた。

 

「あの。何かいるんですか?」

 

わけを話し、二人でしばらく木立ちを覗き込む。スズメより一回り小さな小鳥で、最初はシジュウカラかと思ったが、特徴のあるネクタイ模様がないと知り、しきりに枝から枝へ飛び回るのを目で追った。遠くへ飛んで逃げるわけでもなく、チチチと鳴き続けている。

 

「あ、ほら、あそこに。見たことないんですよ、なんていう小鳥でしょうね」
「なにかしら。可愛いわ。ね、この辺り、野鳥が多いですよね」

 

結局、確認できないまま、会釈をして別れたのだが、少し心が温かくなっているのに気づく。家族やお店の人以外と口をきいたのが、ちょっと新鮮で。知らない人が見せてくれた自然な笑顔が嬉しくて。

 

この町に引っ越してきて、丸2年たった。ご近所にできた顔見知りはほんの数人程度だ。前の家には27年住んでいたから、ちょっと外に出れば、大抵、知った顔に挨拶をしていたし、声をかけられていた。

 

優しく世話好きな人が多くて、娘たちはたくさんのご近所さんに可愛がってもらいながら育った。頼りになる素敵な女性たちがたくさんいた。困ったときには何度も助けていただいたっけ。実家が遠い私だが、幸せな子育て環境だった。

 

たくさんの人の顔が思い浮かぶ。去っていった人たちも多かった。長い年月を、出会いと別れを繰り返して過ごしてきたんだね。

 

今年も懐かしい人との再会や、新しい出会いのあった年だった。遠い町に住む友人たちとは、いつもLINEでおしゃべりしている。心を病んでから人とのつながりを少し怖れていた時期もあった私だけど、最近はだいぶ状態が良くなっていると思う。

 

恵まれている今のつながりを大切にしつつ、これからはもうちょっとだけ積極的に、自分から新しい出会いを求めていってもいいな。そんなふうに、思ったりもする。一歩前進、かな?

 

せっかく生まれてきたんだもの、いつまでも閉ざしていてはつまらない。限りのある命なのだからね。

 

夏に義父が亡くなり、わが家も年賀欠礼のはがきを出したが、今年も喪中のお知らせが何通か届いた。その中に、ご家族でなくご本人が他界されたという悲しいお知らせもあり・・・。

 

彫刻家の先生だった。私はまだ10代の学生で、彫刻のモデルのアルバイトをしていたのだが、先生には本当によくしていただいた。

 

夏休み、九州旅行に行くときにお餞別もくださったし、お知り合いの窯元に連れて行ってくださり、焼き物体験もさせてくださった。裏山にマツタケ狩りにも連れて行っていただいた。ため口をきく生意気な小娘を、面白がって笑って見ていてくれた先生。

 

優しい、楽しい先生だったなあ。何十年も前に交わした会話を思い出し、心の中で感謝の言葉を述べ、手を合わせた。

 

思い出は悲しむためでなく、懐かしみ感謝するためにあるんだよね、先生。

 

いつかは私も、そして誰もが彼岸へ旅立つ。その日まで、この世で出会った人たちとの、せっかくのご縁を大切にしたいと思う。良い思い出も、そうでない思い出も、感謝できる自分でいられたら、と願う。怖がらず、新しい出会いに手を伸ばすためにも。

 

2018年が近づいてくる。心の中に、澄んだ風を通したい。