一筋の光、降り注ぐ光。

人生はなかなかに試練が多くて。7回転んでも8回起き上がるために、私に力をくれたモノたちを記録します。

双子プロジェクト完了―寂しさと清々しさの中で

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抜けるような青空。真白な雲。
美しい9月の朝に、双子は生まれた。
2歳児に、ふたりの妹ができた。

 

あの日から、2カ月がたつ。5日前、長女と長女の娘たちは、迎えに来た婿どのとともに、遠方の町へ帰っていった。
残された私と夫と次女は、一抹の寂しさとともに、やり切った清々しさの中にある。仰ぎ見る11月の空は、さらに深く青い。

 

5カ月と少しを一緒に暮らした2歳の孫娘。ママっこで人見知りだったから、最初、どうなることかと心配していたが、すぐに打ち解け、我が家にも慣れ、楽しく日々を過ごしてくれた。

 

1カ月ちょっとの娘の入院中、私が母代わりをしていたので、なんだか自分の3人目の娘のような気さえしている。寝かしつけで甘えてこられたときなど乳腺が張ってきたこともあり、我ながら母性の不思議に驚いた。
・・・別れるのはやはり、辛かった。

 

我が家に来たばかりのときを思うと、彼女の成長ぶりには驚くばかりだ。本当に大きくなった。賢くなった。優しくなった。次々と変わる環境の中で、パニックも起こさず、よく頑張ってくれたと思う。

 

私たちの双子プロジェクトは、3つのフェーズに分けて、それぞれの課題とミッションを掲げることから始まった。なかなか得難い経験だったので、今、ここに記録しておこうと思う。

 


まずは、ざっくりと背景を。

 

私は夫と次女と、東海地方に住んでいる。長女は4年半前に結婚し、関西に。婿どのと2歳児とネコと暮らしている。この春、双子妊娠がわかり、我が家の近くにある大学病院で出産(帝王切開)することになった。

 

当初は、出産日1カ月前からの管理入院に合わせて里帰りする予定だったが、検査結果の数値に不安点があったため、2カ月早めての里帰りとなった。

 

★第1フェーズ
長女が管理入院するまでの2カ月と4日間

 

ここでの課題は、2人が加わった5人家族の生活に、それぞれが慣れること。
母体の健康管理への協力と、2歳児との信頼関係の構築が、私のミッション。

 

双子妊娠には安定期はないそうで、一番大事なのは安静にして、赤ちゃんたちにできるだけ長くお腹にいてもらうこと。長女も主婦だがなかなか手伝いは頼めない。買い出し、食事作り、洗い物、洗濯・・・私の家事はざっくり2倍量になった。特に妊婦と幼児の食事には、禁じ手が多いので気を遣った。

 

でも、長女とあれこれおしゃべりしたり、2歳児の可愛らしい言動に笑ったり、我が家は楽しく華やかになったのは間違いない。夫も次女も、本当に嬉しそうな顔をすることが増えた。

 

ただ、この頃は皆、この先のことが心配でたまらなかった。とにかくリスクの多い双子妊娠と出産。無事、笑顔でその日を迎えられるように、祈るようにして暮らしていた。

 

実際、検診時に子宮頚管が短くなっていると指摘され、次回の検診でそのまま入院するかもしれないと、毎回覚悟していた。義父の三回忌があったが、諸々心配なため、夫一人で行ってもらった。不義理をしてごめんなさい!

 

ハラハラしたけれど、なんとか無事、予定通りの日に入院することができた。

 


★第2フェーズ
長女が管理入院し、出産を経て退院するまでの1カ月と9日間

 

ここでの課題は、ママ無しで過ごさなければならない2歳児に、寂しい思いをさせないこと。楽しく暮らしてもらうこと。私のミッションは、母親代わりを徹底することだ。

 

それから、猛暑の中、2歳児を連れて長女の入院先に通うことも、課題であり、ミッションだった。でも、これは私一人ではやはり難しく、それはまた、日々の買い出しで外出することすら難しいということで、夫の協力があってなんとかしのげた。目いっぱい年休を取ってくれたのだ。

 

食事は、妊婦がいなくなった分、気楽にはなった。長女の栄養面は、病院にお任せできて安心だわ、と思っていたのだが、入院食はひどく素っ気ないものだと聞いて苦笑。おやつの差し入れも私のミッションとなった。「早くお母さんの美味しいごはんが食べたい」という言葉に、甘やかな気持ちになる単純な母親。笑

 

このフェーズでは、お盆休みの婿どのが2歳児を5泊6日、預かってくれた(いや、こちらが預かっているのだから一時お返しか?)。彼のご実家はクルマで1時間以上かかるが同じ県内にある。孫娘はそちらにも台風をはさんで2泊お世話になり、戻るとき、彼のお母さんも長女の見舞いにわざわざ来てくださった。

 

明るくて、優しくて、さっぱりとしてていつもニコニコ。彼のお母さんが私はとても好きだ。お会いできたのも嬉しかったし、彼女もこのプロジェクトを一緒に成功させようとしてくれてる仲間なんだと、とても心強く思うことができた。

 

そして、9月6日、無事に双子は誕生した。今度は婿どののお父さんも、お母さんと共に遠方から来てくださった。狭い病室に大勢の笑顔がはじける。はしゃぐ2歳児。大仕事を成し遂げた長女は、幸せそうに微笑んでいた。

 

退院までは、ママ代わりの役どころが私の使命。2歳児は朝起きると「おばあちゃまー」と私を呼ぶ。「ママー」と呼んだのは長女が入院した最初の1日だけだった。我慢してた?それとも順応力が高いの?どちらにしても、私からは「ありがとう」だね。

 


★第3フェーズ
長女の退院から、彼女たちが帰って行くまでの1カ月と21日間

 

ここでの課題は、双子を迎え入れての生活に、全員が慣れること。赤ちゃんたちのお世話をすること。荷物が増えた狭い家で、(気持ちだけでも)風通し良く、仲良く暮らすこと。

 

産褥期の長女のケアと、また生活が変わってしまった2歳児のケア、5人分の食事と7人分の洗濯が、私のミッション。

 

これは正直、プロジェクトの初期から大変だろうと怖れていた。
だって、新生児1人だって大変なんだもの。それが2人いて、2歳児もいて・・・

 

沐浴も2人分。授乳もオムツ替えも2人分。泣き止まない赤ちゃんたちを抱き上げて、を繰り返す。遊んでほしがる2歳児の相手もする。ご飯を食べさせ、お風呂に入れて。1日中大騒ぎだ。

 

日記を読み返すと、みんな体調崩したり、腰を痛めたり、精神的に不安定になったり、疲労がたまって限界っぽい日が続いていた。双子はだんだん寝ている時間が少なくなり、泣き声も大きく激しくなってくるし、昼夜構わず交代で泣き続けるのだから、そりゃあみんな、疲弊するよね。

 

夫も次女も、仕事から帰っても休まらなかったことだろう。それでも、夜中も早朝も惜しみなく協力してくれた。それもこれも、長女を守りたい、小さい人たちを守りたい、という強い思いがあったから、なんだよね。それにやはり、双子の赤ちゃんは抜群に可愛いから。

 

体力的にもきつかったけど、精神的にも揺さぶられることの多かったこの5カ月ちょっと。たった1日でいい、ひとりで静かに過ごせる日が欲しい、と私は渇望したっけ。洗い物をしながら涙が出てしまったこともあった。なんで、こんなに長いこと大変な思いをしなくてはならないのか、と。そして、そんな風に思ってしまってはいけないのかな、自分は冷たい母親なんだろうかと落ち込んだ。

 

長期にわたるサポートだったから、頭も疲れていたのだろう。多胎妊娠、出産のリスク、育児の過酷さについて、全く知らなかったところから始まったことも、ここまで大変なのか、と精神的負担を感じた原因かもしれない。そして今も多くの人は、多分知らない。みんなきっと長女の苦労は想像できるけど(確かに長女は大変だ)、そこは実母が助けてくれるものでしょう、くらいに思っているんじゃないかな。

 

どうかあまり無理をしないでね。
実家に甘えられるうちにたっぷり甘えさせてもらいなよね。
・・・と。

 

以前の私でも、そう言いそうだ。おめでたいこと、幸せなこと、という事実の前に、受け入れ側の生活や時間の犠牲は些末なことと、世間に軽く扱われている気がする。

 

私は娘を愛しているからサポートした。夫も、次女も。でも、それを「実家なんだから、母親なんだから当たり前」と言われることは、なんだか釈然としない。

 

双子に限らず、里帰り出産の受け入れ側の苦労にも、もっと想像力を発揮してもらえたらいいなぁと思う。誰もが体力的、時間的、空間的、経済的に余裕があるわけではないのだから。

 

もちろん、長女は何度も心からのお礼を言ってくれた。改めて「ありがとう」と言われると、泣きそうになった。本当にいい子。「私こそありがとうだよ」という返事も、心からのものだ。素晴らしい経験をさせてもらった。幸せだった。それは、確かなのだ。

 

 

11月の晴天が続いている。
朝、駆け寄ってくる2歳児は、もうこの家にいない。外出先から帰っても、パタパタと走ってくる足音はしない。誰かが出掛けるとき、ハグの輪の真ん中に入って「ギュー」と言い、キラキラの瞳で見上げて「みんないるね」と笑う、あの子はいない。

 

抱き上げるとスッと泣き止んだ赤ちゃんたち。その軽さと温かさ。石鹸とミルクの匂い。この世で一番、大切に扱わなくてはいけないもの。

 

カップでもフレームでも、2つ並んでいるのは可愛いものだとずっと思っていたけれど、2つ並びの可愛さを、寝ている彼女たちにも感じた。同じ方向を向いていても、向き合っていても、そこにいるだけで幸せな気分にしてくれた。

 

長女といろいろな話をした。他愛ない話、真面目な話。お互いの「推し」の話も。笑
素直で優しい彼女には、悩みもいっぱい聞いてもらった。手を伸ばせば触れられる所に、何カ月もいたのに、今はもういない。

 

・・・ひとつひとつのシーンを思い出すたびに、まだ喉の奥がグッと詰まるけど、私は感謝して今日を、明日を新しく生きていきたい。

 

長女たち一家にとっては、双子プロジェクトの第4フェーズが始まっている。きっと、すごくすごく大変なはずだ。もっと預かってあげれば良かったのかもしれないと、何度も繰り返し思ってしまう。

 

でも、「頑張ってみる」と言った娘の意志を尊重したい。応援していくし、SOSがあれば飛んでいくつもりだ。

 

そして我が家には引き続き、大きなイベントがある。

 

今月末、次女が一人暮らしを始めるため、引っ越していくのだ。またまた寂しくなってしまうけど、親として彼女の成長を喜びたいし、エールを贈りたい。

 

2019年。長女と暮らせた夏を、孫娘と過ごせた夏を、私は忘れない。そして、次女と過ごせる残りわずかな日々を、一瞬一瞬を、大切にしようと思う。

 

思いは千々に乱れ、揺れるけど。
空を仰ぎ「清々しい」と感じた心のありようを、ずっと継続していけたらと、今、強く願っている。

 

 

・・・とても間があいてしまいましたが、久々に更新しました。
長いですよね、スミマセン。
次回は短くなると思います。
で、多分、わりとすぐに更新すると思います。多分・・・